NHKのプロフェッショナルという番組に、左官の挟土秀平さんが取り上げられていました。
左官の材料にはいろんなものがありますが、挟土さんは本物の「土」を使う、専門家です。

いまや、日本各地だけでなく海外にも呼ばれるほどの人気でありながら、挟土さんの仕事に対する態度はいつでも「臆病」で、常に「大丈夫だろうか」と自問しておられるそう。周囲の職人さんたちにも「もっと臆病に」と声をかけておられました。

土を扱う仕事は、湿度や温度に左右され、どんなに場数を踏んでいても一度として同じ条件での仕事はないのでしょう。
「怖くて、逃げたくなることもしょっちゅう。」なのだそう。でも、
「怖い、怖い、と思っているときは、頭の中がものすごく回転してる状態」「いつも怖いと思って不安であるからこそ、周りの空気が読める。」と、言われていたことがすごく印象的でした。

子供のころから内気で人見知りだったという挟土さんですが、司会の方の質問にはよどみなく答えておられました。 そしてそこには、常日頃、信念をもって仕事をやり続けている方ならではの、説得力がありました。
満足してしまわずに、常に新しいことに挑み、完璧なものができるまで妥協しない。いつでも謙虚。

私は、挟土さんの言葉から、茨木のり子さんの「汲む」という詩の一フレーズを思い出してました。
以下に引用しますね。

大人になってどぎまぎしたっていいんだな
ぎこちない挨拶 醜く赤くなる
失語症 なめらかでないしぐさ
子供の悪態にさえ傷ついてしまう
頼りない生牡蠣のような感受性
それらを鍛える必要は少しもなかったのだな
年老いても咲きたての薔薇 柔らかく
外にむかってひらかれるのこそ難しい
あらゆる仕事
すべてのいい仕事の核には
震える弱いアンテナが隠されている きっと


私もさんざん遠回りして、やっとこの仕事にたどり着きました。
たどり着いたといっても ゴールではなくやっとスタートにたったばかりなんですが。
当然いつだってどぎまぎ。
挟土さんとはレベルが違いますが、でも、すごーく、勇気づけられました。




2006.03.08 Wed l 心に響くコトバたち l COM(2) l top ▲

コメント

挟土さん、修羅場くぐってきた人間の眼してたね。いやぁ〜よかった。
ところで、ピタッと詩がはまってるねぇ。いつもながらこれまた感心です。
2006.03.08 Wed l gou. URL l 編集
コメントありがとう。(^^)
ほんとにね。いい眼だった。
いい刺激になりました!
2006.03.08 Wed l Miezo. URL l 編集

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